警視庁が「緊急通達」。まさに「異常」宣言

都内の交差点で2月15日と17日、相次いで小学1年生児童がひかれ死亡した事件を受けて、警視庁は交差点での取り締まりや街頭での指導を強化するよう、すべての警察署に緊急の通達を出しました。

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警視庁 取り締まりで緊急通達 (NHK NEWSWEB)

この中では、交差点での交通違反の取り締まりの強化や、トラックのドライバーに対する安全運転の指導、それに小学生に対する交通安全教育の徹底や、登下校の時間帯に街頭に配置する警察官を増員することなどを求めています。
また、教育委員会を通じ、各地の学校に対しても注意を呼びかける要請文を送ることにしています。
警視庁によりますと、亡くなった2人の小学生は、いずれも青信号で横断歩道を渡っている時にはねられたということで、警視庁は「トラックは死角が多く、ドライバーは横断歩道や通学路の通行に注意してもらいたい。歩行者も横断歩道が青信号でも、しっかりと左右を確認してから渡るようにしてほしい」と呼びかけています
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ここで「トラックは死角が多く、ドライバーは横断歩道や通学路の通行に注意してもらいたい。」とありますが、そんなことは今に始まったことではありません。
死角が多くて周囲の確認が満足にできないようなシロモノが日常的にその辺を走っているのです。
しかもそれを操作しているドライバーは、だからと言って格別な注意を払ってはいません。町田の事件で逮捕されたドライバーは「何かをひいた」程度の認識なのです。
こんな事が許されてきたことが、まず第一の異常です。

そもそも、このような交差点での左折事故はこれまでにも数え切れないくらい発生してきました。
まったく同じパターンの事故が、後から後から繰り返されているのです。
鉄道や航空機の事故だったら、綿密な事故調査が行われ、対策・改善が行われるまで同路線・同型機の運航は停止されることだってあります。同じパターンの事故は再発させないという視点で事後対策が行なわれることが当然とされているからです。
ところが自動車交通に関しては、どうしてそれほどの事後対策が行なわれないのでしょうか。
実は今回のような「緊急通達」も初めてではありません。にもかかわらず、同じパターンの事故・事件は無くなりません。
まるである程度の犠牲はやむをえないと割り切っているかのようです。これが第二の異常です。

そしてついに「歩行者も横断歩道が青信号でも、しっかりと左右を確認してから渡るようにしてほしい」です。
道路交通において交通信号の表示に従うことは基本中の基本ではありませんか?
亡くなった小学生も青信号だから渡ったのでしょう。
しかし警察は、「横断歩道であっても」「青信号であっても」当てにはならないと言ってしまったのです。
もうこれは交通ルールの崩壊を宣言したに等しいではありませんか?
歩行者はルール無用のサバイバルの中に放り込まれたということです。
そういう状況にあることを家庭や学校を通して子どもたちに伝えてくれ、と言っているのです。
しかしながら、小さな子どもが真摯な注意の目を向けたとて、小さな手を挙げて存在を訴えたとて、相手は「死角の鎧」をまとって突進してくる注意欠如のドライバーなのです。警察は子どもたちに何を要求しているのですか?
これが第三の異常です。

わずかに希望が見られるニュースは、
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小1男児ひき逃げ死亡事件受け 「歩行者」と「車」の分離検討 (TBS News)

東京・町田市で小学1年生の男の子がひき逃げされ死亡した事件で、警視庁は、現場の交差点で安全対策の見直しの検討を始めました。キーワードは「歩行者」と「車」の分離です。
こうした交差点での事故を防ぐため注目されているのが「歩車分離式信号」です。
歩行者と車が通行する時間が完全に分れているので、歩行者は安全に交差点を渡ることができます。全国およそ21万か所の信号のうち、この信号が設置されているのはおよそ8500か所で、全体の4%にすぎませんが、現在、順次導入が進められています。一方で、導入により信号の待ち時間や渋滞が増えるなどの弊害も想定されています。
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せっかくのニュースなのに「弊害」とは不適切ですね。
安全のために当然受容すべき待ち時間や流量は「弊害」ではありません。

この「歩車分離式信号」のような対策が、今回事故のあった交差点だけに実施されるのでは根本対策とは言えません。
少なくとも全国の通学路の交差点は総点検し、「歩車分離式信号」設置、横断歩道・信号機新設が検討されるべきでしょう。