ITARDA交通事故分析レポート「特集・子供の歩行中の事故」

ITARDA(交通事故総合分析センター)が発行している交通事故分析レポートNo.116は「特集・子供の歩行中の事故」です。
http://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info116.pdf

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このレポートの最初のグラフ! 7歳での歩行中死傷者数の鋭いピーク!
これが私たちが生きる「クルマ社会」です。
小学校に入り、親から離れて道路を行き来するようになる(歩行または自転車で)、その時期を生き残れるかどうかが、この「クルマ社会」における生存の一つの関門になっているという事実です。

レポートの最後はこのように述べられています。
「7歳に掛けて死傷者数が増加したということは、その裏には事故に至らなかった数多くの危険な状況があったと思います。そして7歳を過ぎても登下校の頻度や外で遊ぶ機会は変わらないにもかかわらず死傷者数が減少したということは、子供自身が危険な状況に遭遇し、その経験を通してどのような行動が危険なのかを学んだことで、死傷者数が減少しているということなのかもしれません。
もしこの仮説が正しいとすると、小学校に入学するまでに一人で安全に行動できるように、これまで以上にしっかりと準備をしておく必要があるのではないでしょうか。・・・(中略)・・・
“小学校に入学してから”ではなく、“小学校に入学するまでに”、できるだけ時間をかけて交通安全指導を積み重ねておくことで、歩行中の交通事故による死傷者数の“7歳児のピーク”を小さくすることができるのではないでしょうか。」
もっともなご忠告です。

しかしこのレポートは、私たちの生きている社会がそのような淘汰を前提としている「クルマ社会」であることは明言せず、ただ子どもたちに対して「クルマ社会」を生き延びる「資格」を身に着けることを求めているわけです。
そう考えると、このレポートはずいぶんドラスティックな内容です。
うがったことを言いますと、クルマ社会の管理者側から民への“お告げ”のようにも読めます。

もちろん人の親であれば、この世が「クルマ社会」であろうと、自分の子が適応し生き続けていけるように育てるのは当然です。
しかし社会の運営を担っている大人としては、まずレポート頭書のグラフを見た途端に、自らの社会の病理に衝撃を受けるのが正常な感覚ではありませんか?

“7歳児のピーク”を小さくすることは、7歳児みずからの命を懸けた努力によるべきものなのでしょうか。
親がすべきことは「自動車に気をつけて」と子どもに言い聞かせることしかないのでしょうか。
世の中の大人は、自分たちがどのような社会を形成しているのか省みる必要はないのでしょうか。